
ANAやJALなどでは、ほとんどの場合、そのグループ子会社ないし業務提携している地元の会社に所属するスタッフが、旅客ハンドリング業務(いわゆるみんなが思い描く空港の航空会社のカウンターでチェックイン)をしているおねーさんたちです。
そういう実情を全く知らない人からみれば、チェックインカウンターに立って手続きをしているグランドスタッフのことを何の疑いもなく正規のANA、JALの社員だと思ってる人もいます。
実際、昔はいくつかの空港では、例えば成田、羽田、札幌、福岡あたりは正社員がカウンターに立ってチェックインしてました。
それが時代の波にのまれ、遂に羽田空港の旅客ハンドリング業務もグループ会社へ移ってしまったのはご存知のことと思います。
https://www.ana.co.jp/pr/12_0709/12-107.html
航空会社の正社員の姿を見かけることも確かにあります。しかし、彼らはお目付け役で1人、2人いる程度。ほとんどの場合チェックイン要員としてカウンターにつくことはありません。
地方の空港では航空会社の職員、社員はいない場合も。
なので、空港カウンターのおねーさんとして働きたい場合、殆どのケースでグループ会社などに入社するしかないんですね。(一部外資系等で例外はあります)
タイトルの “航空会社の社員ではないということ” というのは、あくまでANAやJALのような航空会社本体の正社員ではないということを意味します。
グループ子会社のANA成田エアポートサービスとかJALスカイとか地方の鉄道会社等の正社員のことは指していません。
さて、ここで航空会社の社員でない立場から生ずる葛藤があったということを書いておきます。
まず、ストライキや機材故障遅延のとき、お客さんからさんざん罵声を浴びせられるわけですが...白状します。
正直、このとき内心沸き起こるモヤモヤを抑えるのに必死でした。
航空会社の制服を着用し、会社(本体)の顔として働いている以上しょうがないのですが、航空会社(本体)の社員は全く表に出てきません。
カウンターでコメツキバッタのように、「申し訳ございません、申し訳ございません...」と頭を下げまくってるのはストライキとは直接関係のない他社の人間。
機材故障や天候不良の時はしょうがないとしても、ストライキに関しては業務を請負しているグループ会社の...ではなく本体の社員さんたちが起こしているストです。
ストを起こすことは労働者の権利であり、批判の対象とは成り得ないのは頭では理解してます。
また、カウンター業務は当然自分たちがなすべき業務であるということも。
とはいっても、感情の方がなかなかついてきませんでしたね。
当時お客さんの口からよく浴びせられた言葉。「航空会社なんていい給料もらっとるのに...まだ欲しいんか。こんなに迷惑かけやがって。」
その度に、(いやいや、高給はご本社様だけ。(請負の)私達は聞くも驚きの薄給なのにぃぃぃ...チクショー!)と、何度心の中で叫んだことか。
また逆に、航空会社の人間ではないということをご存知のお客さんからは、
(聞かれちゃまずいと思ったのか、お客さん同士ヒソヒソ耳打ちするように)「彼らは◎◎航空の社員じゃないんだよ」とか、「航空会社(本体)の社員じゃないからそんなに責めてやるな」とか、「請負だから(苦情を)言っても無駄か...」とか。
見下し、憐れみの眼差し・言葉も散々頂いたのを思い出します。
空港グランドスタッフは自分で選んだ道とはいえ、こういう身分からはいち早く撤退したいと思ったのも事実。
結局、アッという間に退職してしまいました。
⇒その後を救ってくれたのが、英語力でした